お酒の魔力と運転の関係
飲めば飲むほど大丈夫と思うのはなぜか。
これは、合宿免許で教習所に通っている人もよく注意してほしいことです。
アルコールが新皮質をマヒさせることと並んで酒の怖いところは、"飲めば飲むほど自分の運転は大丈夫だ"と思う点です。
これについて私は、次のような実験をしたことがあります。
50名ほどの酒に自信のある人に集まってもらい、日本酒三合を約一時間かけて飲んでもらった。
そしてその後、30分毎に三回にわたってアルコールの呼気中濃度をはかったり、簡単な心理テストをさせてもらいました。
みんな、ふだんはお堅い仕事をしている人たちだが、"実験参加"という大義名分で昼間から仕事をせずに酒が飲めるとあって、大喜びで参加してくれた。
最初はみんな、さすがに雰囲気が堅かった。
しかし、一杯、二杯飲むうちにリラックスしてきて、ホステス代わりの女子大生を相手に大きな声で冗談をいうようになってきた。
そのような状態になって呼気中のアルコール濃度をはかると、おもしろいことがわかりました。
客観的にアルコール濃度の高い人ほど、つまり体内にアルコールが多く残っている人ほど、「いかがですか」と聞くと、「まだほとんど酔っていません」と答えたのだ。
そして逆にアルコール濃度の低い人のほうが、「もう酔ったかな」と感じていました。
これは少々問題です。
アルコールが体内に入り、それによって機能障害を起こしていながら、「オレは大丈夫だ」「まだまだ運転できるぞ」などといった自信過剰の心がムクムクと表面に現われてきたとしたら、とんでもないことになりかねない。
それでは、こうした現象はどのように理解したらよいのでしょうか。
私はこう考える。
つまり、体内にアルコールが入り酔ってくるにつけて、自分の酔いを判断するスケールが狂ってきます。
狂ったモノサシでいくら自分の酔いの状態をはかっても正確であるはずがない。
しかも、酔うほどに自分に都合のいいように判断するのが、多くの酔っぱらいの常なのです。
反対にアルコールの体内濃度が低く、それほど酔っていないときは自分の酔いをはかるモノサシも正確だ。
そして、むしろ過大に酔いを評価するのです。
げに、「酒は百薬の長、そして酒は狂気の水」です。
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